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無修正?『70年代ロマンポルノの記憶』 日活ロマンポルノって何だったの?

『団地妻 昼下がりの情事』『後ろから前から』といった名作のリバイバル製作やDVD化、そしてフランス、韓国を始めとした海外での上映など、近年再評価の機運が高まりつつある日活ロマンポルノ。アダルトビデオ前史の男たちの下半身を奮い立たせ、ピンク映画の代名詞となるまでに至ったロマンポルノだが、実は崔洋一(『血と骨』、『カムイ外伝』)や黒沢清(『アカルイミライ』、『トウキョウソナタ』)、そして森田芳光(『失楽園』『間宮兄弟』)といった大物監督たちが修行の場として、まだ見ぬ自作のための実力を養う場でもあった。ただのピンク映画にはとどまらず、21世紀の日本映画界に並々ならぬ影響を与えた「映画の学校」がロマンポルノだったのだ。

 そもそも、「ロマンポルノ」とは何だったのだろうか? 映画全盛期であった昭和30年代から、映画界は徐々にその勢いを失い、映画の製作本数は激減、監督やスタッフなどの映画人たちの仕事はだんだんと減っていった。そんな時代に、日活は成人向け映画の製作に乗り出した。1971年〜88年にかけて製作されたそれらのシリーズは「日活ロマンポルノ」と名付けられ、実に700本あまりの作品が製作された。監督やスタッフなどは、それまでの映画界を支えていた一流の映画人たち。ポルノという響きに抵抗を示す者もいたものの、一般映画よりは少ないが成人映画としては潤沢な予算を使用できることもあり、"裸さえ出ればどんなストーリーでも構わない"という条件を逆手に取って、数多くの映画人たちの貴重な創作の場となった。しかし、17年間にわたって日本中の男性を喜ばせ、次世代を担う監督たちを育て上げた日活ロマンポルノも、80年代に登場したアダルトビデオの勢いに押され、ついに打ち切りとなってしまう。

 40歳以上の男性ならば、その名前を聞くだけで、思い出とともに股間が膨らんでしまう方も多いであろう「日活ロマンポルノ」。奈美悦子や天地真理、岡本麗などといった今では実力派として知られる名女優たちも、かつてはロマンポルノでその魅力を振りまいていた。そんなロマンポルノ女優たちの艶姿は写真家・河合孝雄氏による写真集『70年代ロマンポルノの記憶』(鹿砦社)でも確認することができる。70人あまりの女優による裸体の競演は、30年以上の時代を隔てているとは言え、現在でも十分に美しく、いまだに"現役"の姿を留めている。その70人の中にはロマンポルノから映画・テレビ界へと進出していった白川和子、宮下順子、美保純といった女優たちの若き日の一糸まとわぬ美しい姿も刻まれている。

 21世紀に入り、ヘアヌードは当たり前、ネット上にはモザイク処理すらもされていない画像が氾濫し、アダルトビデオでは中出しが当たり前になり......とエロスに対する過激さは年を追うごとにエスカレートするばかり。そんな状況に慣れきってしまった男子諸君にとって、ヘアすらもほとんど見ることができないロマンポルノや前述の写真集は刺激が少なく、"抜く"には物足りないと思われるかもしれない。しかし、写真集を眺めると、そこには牧歌的でおおらかなエロスが許されていた時代の香りが残り、往年の日本のエロスを知ることができる。過激さだけを求めることがエロではない。想像力で補いながら、妄想力を爆発させ、生命力が噴出する。そんな面倒な方法でも、無修正ビデオ以上のエロスが堪能できるのだ!

 往時を知るおじさまのみならず、エロスの明日を担う若い読者にも、ぜひ日活ロマンポルノの素晴らしさを感じ取ってほしい。
(文=萩原雄太[かもめマシーン])

●かわい。たかお
1938年4月30日、東京都大田区生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒業。同校在学中体育会山岳部に在籍。出版社写真部を退社後フリーに。ロサンゼルスに遊学する。日活、東映所属女優を多数撮り続け、「平凡パンチ」(現、マガジンハウス刊)など多数の男性週刊誌に掲載。女優撮影カメラマンとして第一人者。

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